取材

未経験スタート! 動画編集・デザイン副業で月5〜10万円を稼ぐ左官職人に取材

かちさんeyecatch
Bobby Saitou

本業の左官職人の傍ら、副業で「動画編集」と「グラフィック・Webデザイン」に取り組むかちさん。

かつては「自分のスキルは潰しが利かない」と将来への焦りを抱えていた営業マン時代から一転、未経験の職人の世界へ。

副業の動画編集もデザインも未経験でしたが、いまでは安定して月5万〜10万円の利益を上げています。

そこには、「手に職をつけたい」という渇望がありました。

まったく初めての副業に挑戦したいけど、一歩前に進めない方の背中を強く押してくれるリアルな体験談をお届けします。

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かちさん

本業で左官職人として活躍する傍ら、副業で動画編集、グラフィックデザイン、Webデザインを手掛ける31歳のマルチクリエイター。

数年前までは異業種の営業職を務めていたが、将来を見据えて「手に職をつけたい」と一念発起。

副業資金作りのためのUber Eats配達からスタート。現在は本業と副業を両立し、安定した副業収入と精神的な余裕を手に入れている。

手に職をつけたかった、営業マン時代

現在でこそ職人、そして副業クリエイターというアクティブな二面性を持つかちさんですが、ほんの3〜4年前まではまったく異なる「営業職」の会社員でした。

当時の仕事に対して、明確な危機感とまではいかなくとも、心のどこかで「このままでいいのだろうか」という小さなモヤモヤを抱えていたと言います。

「当時は営業の仕事をしていたのですが、なんとなく自分の中で『このままでは他の会社で潰しが利かないのではないか』という不安がありました。とにかく、自分の力で生きていけるような『手に職をつけたい』という目標が強くありました」

そんな折に出会ったのが、お金の知識や自由な生き方を学べるオンラインコミュニティ「リベシティ」でした。コミュニティ内で発信される情報に触れるうちに、「お金に関してもっと上手くやれる方法があるはずだ」「自分も行動を起こさなければ」という思いが強くなっていったそうです。

しかし、当時の生活では副業を始めるための初期費用が不足していました。特に動画編集やデザインをやるためには、スペックの高いパソコンが必要です。さらに、動画編集スクールにも通うとなると費用がかさみます。

そこでかちさんが取った行動は、きわめて実直なものでした。

配達の報酬で副業の初期費用を捻出

かちさんが始めた最初の副業は、Uber Eatsの配達員でした。

本業の営業職を終えた後の夜の時間、毎日約3時間を配達業務に費やし、一歩一歩コツコツとパソコンの購入資金を貯めていったのです。

「家でできる仕事をしたいという目標のために、まずはパソコンを買うお金を貯めようとUber Eatsを始めました。今振り返っても、最初の一歩を踏み出した過去の自分には『始めてくれてありがとう』と感謝しかありません」

無事に目標金額を貯め、念願のパソコンを手に入れ、動画編集スクールにも入会したかちさん。当初は動画編集に絞って活動する予定でしたが、飛び込んだスクールでデザインソフトにも触れる機会に恵まれます。

ソフトに触れていくうちに、「動画だけでなく、デザインの世界も奥が深くて面白い」と気づき、グラフィックデザインやWebデザインの領域にも自ら手を伸ばしていくことになりました。こうして、未経験から「動画×デザイン」という現在の副業スタイルへの土台が作られていったのです。

動画編集スクールは実際…

動画編集スクールの受講料は50万円ほどと高額です。国の「リスキリング補助金制度」を活用したため、最終的には約半額の自己投資に抑えることができたそうです。

しかし、実際にスクールを卒業した身として、かちさんは「今の時代、スキルを学ぶだけであれば必ずしもスクールは必要ない」と率直な感想を語ります。

「正直に言うと、今の時代はYouTubeやネット上にいくらでも有益な情報が転がっているので、学ぶこと自体は独学でも絶対に可能です。実際のスクールで教わったのも、本当に『ソフトの基本的な使い方』というステップだけでした」

では、スクールに入るメリットは全くないのでしょうか? かちさんは自身の経験を踏まえ、スクールの価値を以下のように分析しています。

  • カリキュラムが体系化されている: ネットの情報は断片的なことが多いが、スクールは1から10まで順序立ててまとめられているため、迷わず学習を進めやすい。
  • 強制力が働く: 「高いお金を払ったんだから、絶対に元を取って回収しなければならない」という強いモチベーションになる。
  • 挫折を防ぐ: どうしても自分一人では継続が苦手という人にとっては、道標になる。

かちさんの場合は、「受講料とパソコン代はすでに副業で回収し終わっている」とのこと。スクールを妄信する必要はありませんが、自分を強制的に行動させる「ブースター」として割り切って活用するのであれば、決して悪い選択肢ではないと言えます。

独学で動画編集・デザインスキルを磨く

実際の現場でクライアント(発注者)が求めるクオリティに応えるためには、そこからの+αの努力が不可欠でした。

かちさんはスクール卒業後、デザインのクオリティを上げるために書籍を山のように購入し、むさぼるように読んで独学を重ねたと言います。

「ソフトの使い方が分かっても、それがそのまま仕事になるわけではありません。レイアウトのルールや配色、文字組みなど、デザインとしてのクオリティを追求するために、とにかく本をたくさん買って知識を補填していきました」

さらに素晴らしいのは、実戦のなかで学び続けるバイタリティです。実際のクライアントワークをこなす中で、自分の現在のスキルでは対応が難しい案件や、表現の壁にぶつかることが何度もあったそうです。

そんな時も諦めず、その都度必要な新しい書籍や教材を購入し、課題に直面するたびに学び直して乗り越えてきました。

現在の1日のスケジュールを聞くと、朝から夕方までは本業の左官職人としてハードな肉体労働をこなし、帰宅して夜の20時から深夜1時までの約5時間、デザインや動画の作業に充てているそうです。

「最初の頃は、家に帰ってきたら疲れてすぐ寝てしまうこともたくさんありました。でも、人間って不思議なもので『慣れ』が一番大きいんですよね。どうしても納期がシビアな時は徹夜をすることもありますが、基本的には限界を迎える前に『1回思い切って寝て、集中して一気に終わらせる』という風に、睡眠時間をコントロールしながら作業時間を捻出しています」

土曜日も本業の現場があり、日曜日は作業をしたり奥様との時間を大切にしたりと、非常に過密な日々を送っています。それでも継続できたのは、目の前の案件に対して真摯に向き合い、独学で壁を突破し続けてきたからに他なりません。

オフラインの場での案件の見つけ方

副業を始めた人が最も苦労するのが「どうやって最初の案件を獲得するか」という営業の部分です。クラウドソーシングなどを活用する人が多い中、かちさんの主な主戦場は「オフライン(対面)のコミュニティ」でした。

かちさんは地元の「JC(日本青年会議所)」や、ビジネス交流会である「守成クラブ」といった団体に所属し、そこでの繋がりから多くのお仕事を獲得しています。

「ゴリゴリと営業をかけるというよりは、自分が普段どんな仕事(動画編集やデザイン)をしているのかを周囲の人たちに明確に伝えておくんです。そうすると、しばらく経ってから『あ、そういえば、あの人こういうことできるって言ってたな』と思い出してもらえて、繋がりでふんわりと話が回ってくることが増えました」

自分のスキルを日頃から周囲に認知させておく「置き看板」のようなスタイルで、自然な紹介案件を増やしてきたかちさん。

ただし、こうしたオフラインの経営者コミュニティに所属することについては、副業初心者に向けて現実的な注意点(デメリット)も優しく補足してくれました。

「正直なところ、副業初期の段階でこうしたオフラインのコミュニティに所属するのは、コスト面でかなり重たい部分もあるなと感じています。会費がそれなりに高額なんですよね」

かちさん曰く、実際のコスト感は以下のようなものだそうです。

団体名固定費特徴・リアルな所感
JC(日本青年会議所)年間 約16万円かなりまとまった出費になる。元を取るためにそれ以上の成果を出す意識が必要。
守成クラブ年間 2万8,000円 + 例会費(約月5,000円)毎月の例会参加にも費用がかかるため、副業レベルの収入だと固定費の重みを感じやすい。

業態としてデザインや動画編集は「原価」がほぼかからないため、売上=ほぼ利益という大きなメリットがあります。

かちさんは現在、安定的に月5万〜10万円の利益を出しているためバランスが取れていますが、まだ収入が立っていない初期段階からこうした場所に無理して飛び込むと、固定費の支払いで赤字になってしまうリスクもあります。

「自分の活動フェーズとお財布事情に合わせながら、適切なコミュニティを選んでいくことが大切」というアドバイスは、これから営業を始める人にとって非常に貴重な視点と言えるでしょう。

本業と副業で掴み取った「手に職」

副業で成果を出せるようになったことは、かちさんの人生とメンタルに驚くほど良い影響をもたらしました。

最も変化したのは、本業に臨む際の精神的余裕です。かつて「営業職で潰しが利かない」と悩んでいた頃とは違い、いつでも自分のスキルで外の世界で戦えるという自信が生まれたのです。

「副業で稼げるようになってからは、『最悪、本業をいつでも辞めてやるぞ』くらいの気持ちで、胸に辞表を忍ばせているような精神的な余裕ができました(笑)。不思議なことに、その余裕のおかげで、かえって本業にもリラックスして、いい成果が出せるようになるという好循環が生まれましたね」

その後、かちさんは「体を使うリアルな職人の世界」にも強く惹かれ、本業自体を営業職から「左官職人」へとシフトさせます。

現在は、朝から夕方はコテを握って壁を塗る左官として、夜はパソコンに向かって動画やデザインを生み出すクリエイターとして、それぞれ異なる「手に職」を体現しています。

「本業の左官職人の世界は、早い人でも一人前になるのに5年はかかりますし、常に新しい技術を学び続けなければいけない終わりのない世界です。でも、昼間にがっつり体を使って、夜は頭を使うというバランスは、自分の中で仕事の切り替えがパキッとできるので、すごく相性がいいと感じています」

これからの目標を聞いてみた

インタビューの最後に、かちさんにこれからのビジョンと目標を伺いました。そこには、本業と副業の経験が合わさった、ワクワクするような野望がありました。

「左官の仕事をしていく中で知ったのですが、ただ壁を綺麗に塗るだけでなく、壁面に独自の模様や立体的なデザインを施す『左官アーティスト』という世界があるんです。とんでもないテクニックを持った凄い方達がいて、それこそ画家のように、その職人技だけで莫大なお金を生み出す奥深い世界です」

「自分がこれまで副業で培ってきたデザインの感性や視点があるからこそ、その左官アーティストの世界の魅力に気づくことができた」と語るかちさん。今後は、左官としての技術を高めつつ、自身のクリエイティブな感性を融合させた唯一無二の職人を目指していきたいとのこと。

さらに、今年度中には、これまでの動画編集とデザインスキルを活かして、自身のYouTubeチャンネル立ち上げも計画中だそうです。

3年前、将来への不安からパソコン代を稼ぐために黙々とUber Eatsで配達していた過去の自分に対して、かちさんは「あの時、行動を始めてくれて本当にありがとう」と、深い感謝を口にされていました。

副業を成功させるために一番大切なこと。それは、特別な才能でも、高額なスクールでもなく、「まず一歩を踏み出して、途中でやめずに続けること」という極めてシンプルな真理です。

あなたも、将来の自分から「あの時始めてくれてありがとう」と言ってもらえるような小さな一歩を、今日から踏み出してみませんか。

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ボビー斉藤
ボビー斉藤
Webライター・ブロガー
ライター歴12年の1985年生まれ。2024年にWebライターとして独立し、取材やIT系メディアのコンテンツを中心に執筆している。
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